魔女の宅急便

【魔女の宅急便】キキが空を飛べなくなった理由を考察!挫折?嫉妬?再び飛べた理由とは?【宮﨑監督インタビュー】

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「魔女の宅急便」では劇中、キキが空を飛べなくなくなるシーンがあります。

結局なぜキキは空を飛べなくなるのかが明かされていないため、今回考察したいと思います。

キキが空を飛べる理由

まずは、劇中でも語られていますが、キキが空を飛べる理由は魔女の「血」による物です。

・ウルスラとの会話

このことはキキとウルスラの会話でわかります。

魔女が飛べる理由

ウルスラ「魔法って 呪文を唱えるんじゃないんだ」

キキ「うん、血で飛ぶんだって」

ウルスラ「魔女の血か、いいね。私そういうの好きよ。魔女の血、絵描きの血、パン職人の血。神さまか誰かがくれた力なんだよね。おかげで苦労もするけどさ」

魔女は呪文を唱えるのではなく、血で飛ぶことを伝えています。

この「血」を別の表現で表すと「生まれ持った才能」です。

キキは、努力や苦労をして空を飛べたわけではなく、生まれ持った才能で空を飛んでいるわけです。

・スランプ・挫折について

また、映画の後半でウルスラと飛べないスランプについて語り合っています。

空を飛べなくなったキキがウルスラの小屋を訪れて話した会話は以下の通りです。

ウルスラとの会話

ウルスラ「魔法も絵も似てるんだね。私もよく描けなくなるよ」

キキ「ホント!? そういう時どうするの。私、前は何も考えなくても飛べたの。でも 今はどうやって飛べたのか分からなくなっちゃった」

ウルスラ「そういう時はジタバタするしかないよ。描いて描いて描きまくる」

キキ「でも やっぱり飛べなかったら?」

ウルスラ「 描くのをやめる。散歩したり、景色を見たり、昼寝したり、何もしない。そのうちに急に描きたくなるんだよ」

ここで重要なのは「魔法も絵も似ているんだね」というセリフです。

後半で説明しますが、宮崎駿監督は、魔女の宅急便で登場する魔法を、いわゆる魔法ものの伝統から切り離して、彼女の持っているある種の才能に落とし込んで考えています。

つまり、魔法もその他絵を描く等の才能も全て同列に考えています。

キキの心情の変化について

ここからはキキの心情の変化を考えていきたいと思います。

・無意識でできたこと

まずは、無意識的にできていた才能についてです。

これに関しては、私たちにも覚えがあるかもしれません。特に努力せずとも簡単にできてしまって、周りの人が「どうしてできるの?」と聞かれてもうまく答えられないといったことです。

出来るからできるんだとしか言いようのない感覚ですね。

キキにとって空を飛ぶということはまさに、そう言った類のもので「無意識的に発動していた力」と呼べる物だったものと思います。

・無意識的にできていた時代

思春期以前の未成熟な成長時代に本能的に生きていたキキにとっては、空を飛ぶことは、あたかも二足歩行するくらい自然のことでした。

おそらく、故郷のコキリたちと暮らしてた時は、空を飛べるのはおそらく魔女だけであったため、特に他の空を飛ぶものに対する感情はなく成長していったと考えられます。

しかし、成長する過程で、無意識的にしていた行動ができなくなる現象が現れました。

・比較対象が現れた

新しい街に行き、まずはキキの飛行能力に憧れを抱きつつ、魔女ではないけれど空を飛ぼうとするトンボに出会いました。

そして、箒にまたがる以外の方法で空を飛べる術をキキは見つけました。

それが「飛行船」です。

・キキが空を飛べなくなるタイミングとは?

キキが空を飛べなくなるタイミングは「飛行船」が現れてからです。

それまで、空を飛べるキキに憧れを頂いていたトンボも「飛行船」が飛んできる姿を見ると目を奪われて夢中になりました。

そしてキキは「飛行船」に夢中になってしまうトンボたちに明らかに嫉妬しています。

この時、空を飛べる唯一のアイデンティティであったキキは、「他人から価値ある存在」から「比較されて序列が形成される存在」になったものと考えられます。

つまり、空を飛べるから存在意義があったキキは「飛行船」の登場によって、他人から存在意義を否定される可能性が出てきたわけです。

・存在意義を考えてしまった

子供の時のように無邪気に飛べていた頃から、他人から必要とされないといけない存在になりました。

新しい街へ行き、そこで、空を飛ぶことができる魔女の才能(血)を生かして仕事を成功させていき、また空を飛ぶことに憧れを持つトンボに出会って仲良くなっていきます。

キキにとって、当たり前であった「空を飛ぶ」才能が、他人にとっては当たり前ではなく認められる瞬間、キキはきっと嬉しかったでしょう。

しかし、残酷なことに才能を認められるということは、同時に他人から評価され、序列を付けられることでした。

自分の存在意義はなんだろうと考えているうちに、トンボや周りの女の子たちに嫉妬したり劣等感を感じたことで酷く落ち込んでしまうわけです。

そして、考え込んでしまったことで無意識にできていたことまでも無意識にできなくなってしまったのですね。

宮崎駿監督の本音

「魔女の宅急便」のメッセージを読み解くとキキにとっての「空を飛ぶ力」は宮崎駿監督にとっての「絵を描く力」であると推測できます。

このことは絵描きであるウルスラの言葉からもわかります。

彼女は「絵が描けなくなること」について以下のように語っています

ウルスラの言葉

あたしさ、キキくらいのときに絵描きになろうって決めたの。絵描くの楽しくてさ。寝るのが惜しいくらいだったんだよ。それがね、ある日全然描けなくなっちゃった。描いても描いても気に入らないの。それまでの絵が誰かのマネだってわかったんだよ。どこかで見たことあるってね。自分の絵を描かなきゃって

このスランプをしたときのウルスラのエピソードが宮崎駿監督の本音です。

ウルスラが語ったこのセリフは原作には出てきませんが、あえて宮崎監督は、このセリフを入れました。

それは、「魔女の宅急便」を通じて生まれ持った才能を通じて挫折・嫉妬・他者との比較等を経験して大人に成長する姿を見せたかったのでしょう。

・飛べなくなった理由

「ロマンアルバム」「ジブリの教科書5』」のインタビューにて宮崎駿監督は「才能」について以下のように語っています。

才能について

血っていったい何ですか。親からもらったものでしょう。才能っていうのは、みんなそうなんです。無意識のうちに平気で使っていられる時期から、意識的にその力を自分のものにする過程が必要なんですよ。それはウルスラが言っている言葉と同じです。いくらでも絵は描けたけど、本当に自分のものだと思っていたものが実はもらったものだったと。誰だって同じですよ。自分の力を自分で見きわめていく仕事を二十代・三十代・四十代とずっと続けていって、ようやくこんなものかなとある程度の見きわめがつくっていう程度のことでしょ。だから、今まで平気で、無意識のうちにやれたことがとてもできなくなってしまうというのは、無意識のうちに成長していくことは不可能だということでもあるんです。ですから、この映画の中の魔法を、いわゆる魔法ものの伝統から切り離して、彼女の持っているある種の才能というふうに、ぼくは限定して考えました。そうすれば、いくらでも飛べなくなるっていうことはあるんだ……と。そうなると、どうして飛べなくなったかっていう理屈が欲しいかどうかという問題になってくる。でも、そうやって理屈をつけたからって問題が明瞭になるかといったら、決してならないでしょう。むしろ、僕はいまのような表情のほうが、見ている女の子たちも納得がいくんじゃないかって思ったんです。きのうまでは飛べたのに、なんで急に落っこちてしまったのか、なぜこんなに人の言葉がつきささるんだろう、なぜこんなに元気がなくなってしまったんだろう……そういうことじゃないですか。

このことを踏まえるとラストでキキが再度飛べるようになった理由もわかってくるかもしれません。

再度飛べた理由

無意識的に何も考えることなく親から授かった「才能」で空を飛んでいたキキ。

しかし、成長を通じて、嫉妬・挫折を味わったことで、無意識でできていたことが急にできなくなってしまいました。

その時、冒頭のウルスラの発言していた内容が生きてきます。

ウルスラの言葉

そういう時はジタバタするしかないよ。描いて描いて描きまくる

飛行船から今にも落下しそうなトンボを救うにはあれやこれやと考えている時間的余裕はありませんでした。

そうした中で、キキはいてもたってもいられなくなり走って飛行船へ向かいます。

そして、その道中どうしてもトンボを救いたい一心で、デッキブラシにまたがって飛ぼうとします。

そうして無我夢中に「ジタバタ」したことによって再び飛ぶことができたのかと思います。

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【魔女の宅急便】まとめ【豆知識】

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