アーヤと魔女

「アーヤと魔女」は「つまらない・ひどい」と評価が低い理由・「アーヤと魔女」の見方を紹介!【考察】

投稿日:2021年5月3日 更新日:

スタジオジブリ「アーヤと魔女」は劇場公開より先にテレビ放送された作品で、そこに新たなカットを追加した形で劇場公開されます。

これはスタジオジブリ史上初めてのことで、さらに3DCGによるアニメーションもスタジオジブリ史上初めてのことです。

このような初の試みをした「アーヤと魔女」ですが、評価はあまりよろしくなく、「アーヤと魔女」をGoogle検索すると「つまらない」、「ひどい」がキーワードに出てきます。

そこで、今回は「アーヤと魔女」のつまらないと思われてしまう箇所を考察して補足説明・見方を紹介してみたいと思います。

「面白くない」と思う理由

「アーヤと魔女」が「つまらない」「面白くない」と評価が低い一番の理由は「物語に見せ場がなく、アーヤが精神的に成長していない」ということではないでしょうか。

・ストーリー

「アーヤと魔女」のストーリーをざっくりというと、幼い頃から孤児院で育ったアーヤがある日、奇妙な家に引き取られ、そこで「意地悪な魔女」と「怒ると怖い謎の男」と暮らすストーリーです。

・登場当初のアーヤの性格

そして、孤児院でのアーヤは以下のような性格を持ちます。

アーヤの性格

・周囲の人を操って、自分の思いどおりにさせてしまう賢さと才能を持つ

・誰かに引き取られたくないから、見学に来た大人たちに嫌われる術を持つ

こういった性格から、孤児院でとても快適な生活をキープしようとしていました。

ジブリっぽくない展開

周囲の大人たちを自在に操って快適な生活を維持しようとしていたアーヤですが、ある日意地悪な魔女たちに引き取られて、いくら頑張っても報われず、生まれて初めて自分の思い通りにならない環境に身を置くことになります。

・展開への期待と裏切り

このようなストーリー展開だと、おそらく多くの方は、「アーヤ」が理不尽な環境の中で逞しく成長して立派な女性になる展開を期待するかもしれません。

しかし、魔女の「ベラ・ヤーガ」に立ち向かった後に「アーヤ」は「ベラ・ヤーガ」「マンドレーク」を操って自分の思い通りの快適な生活を手に入れてしまっています。

ここで多くの方はこう思うかもしれません。

作品への違和感

え?アーヤは成長しないの?

なんかジブリっぽくない

物語が家の中で完結していてスケールが小さい

・過去作一部紹介

ここでいったん過去のジブリ作品を一部紹介します。

・耳をすばせば

「耳をすませば」は中学生の学園物語ですので、ストーリーの規模はそこまで大きくなく、はっきりとした見せ場が少ないほのぼのした内容となっています。(あると思っている方はすみません。)

しかし、この「耳をすませば」を魅力あるものにしているのは、愛や夢をテーマとしており、中学生特有の葛藤を通して登場人物の成長が垣間見れる」からではないでしょうか。

そして、この登場人物の葛藤と大人になった自分を重ねることで「あの頃」の自分を思い出す事ができます。

・魔女の宅急便

また、魔女の成長という点を見ると「魔女の宅急便」があります。

こちらも物語に見せ場を作って作品を盛り上げるというよりも、「田舎から都会へ修行に来た少女が苦難や葛藤を乗り越え成長していく」ことを主軸としています。

主人公が魔女であるファンタジー性があるにも関わらず、思春期のリアルな少女の感情を描いており、新天地での不安を乗り越えて成長する姿に感情移入してしまうのでしょうね。

過去作との比較

このような過去のジブリ作品と比較すると「アーヤと魔女」はストーリーがほとんど家の中で完結するコンパクトなスケールです。

そして、特に物語の見せ場があるものではないにも関わらず、「アーヤ」の精神的な成長が見られるわけでもありません。

このため、「なんかジブリっぽくない」「アーヤが全然成長しない」と思い、主人公に感情移入できない結果となるのかもしれません。

アーヤの成長を描く作品ではない

アーヤの性格上の設定や過去のジブリ作品を考えると

引き取られた子供が新天地での苦悩・葛藤を通じて自分のわがままな性格を改めて立派に成長する

ことを期待するかもしれませんが、

「アーヤと魔女」で伝えたいことはこういったテーマではなく、大きく2つのテーマがあると思います。

“人を操る”新たなジブリヒロインの強さ

周囲の人を操って自分の思い通りにする事が得意なアーヤに対して宮崎吾朗監督は以下のように語っています。

宮崎吾朗監督が思うアーヤ

「これまでのジブリにはいなかったタイプのヒロイン」

「生きていく上でのしたたかさは、いつの時代も必要」

『人を操る』というのは印象が悪いし、下手すると本当に嫌な子だなと思われる可能性もある

そしてアーヤは同居することになった魔女のベラ・ヤーガと謎の男・マンドレークを意のままにするためにさまざまな策を講じ始めるストーリーに対して以下のように語っています。

アーヤを通じてのメッセージ

「例えば自分に与えられた状況があって、『この人と付き合わなければいけない』などいろいろな制約がある中で、おとなしく我慢してやっていくべきなのかというと、そうではないだろうと。自分の知恵や行動力によって少しでも上にはい上がって、自分が息ができるようにすることはいつの時代でも必要なのではないかと思うんです。アーヤは、ベラ・ヤーガやマンドレークに対して可愛い子ぶってみたり、仕掛けをしてみたり、用意周到に自分の身を守るためにどうすればいいんだと考えて実行する。一面的でない行動力や思考力を備えている子として描こうとしました」

 

「今の子供たちは大変だと思うんです。生活態度も含め全てが点数化されて、かつてより豊かに見えるけど、かつてより制約が多いだろうし、頭数の比較だけしてみても、子供の数より大人の数が多い。今は世の中のイニシアチブをとっているのは中高年なので、若者は良い子に、素直にしているしかないのかと。でも、それでいいということだけではない。そんな中で、自分より上にいるたくさんの大人たちを自在に操って、自分がちゃんと息ができるように生きていくというのは大事なことなんだろうなと思うんです。みんながアーヤだったら困りますけどね(笑い)」

 

「(アーヤは)割とちゃんとやっているんですよね。『これをやれ』と言われたら働くわけです。言われたことはちゃんとやって、その上で魔法を教えてくれと。奪ったりするわけではなくて、自分が出した分だけもらうという、ギブ・アンド・テークの関係を明確にしようと思いました」

自分が望む生活のためにしたたかさを持って奮闘するアーヤを通じて、今の子供たちへ「アーヤのようにバイタリティーを持って生きていってほしい」というメッセージを送っているわけですね。

・成長するのは周囲の大人

「アーヤと魔女」の魅力の1つは「アーヤ」が新天地で意地悪魔女と怒ると怖い謎の男を倒すといったわかりやすいスカッとするストーリーではなく、実はこの意地悪魔女と謎の男という2人の大人がアーヤと接する内に救われる物語であることです。

子供と接することで成長するのはむしろ大人の方だったということです。

このことに関して宮崎吾朗監督は以下のように語っています。

コメント

「持って生まれた性格って、多分一貫して変わらないとも思うんです。知恵はついていくかもしれないけれど、大人が思っているような成長って本当はないんじゃないですかね。そうやって勝手に育っていく子供と付き合うことで、大人の方が刺激をもらったり、元気になったり、忘れていたことを再発見したり。そういったことの方が圧倒的に多い気がします。」

 

「分かったような顔をしていろいろ言っているけど、実は時代遅れになっていたりとか、自分が頭が固くなっているだけということもありますよね。『子供が言っていることのほうがよっぽど楽しいぞ』ということもあるわけで、それに操られることも実は大事なんじゃないかなと」

 

「こういう歳になってくると、ややこしくなってしまったおじさんやおばさんの心理もなんとなくわかるじゃないですか。別になりたくてそうなったわけじゃなくて、色々あって身動きが取れなくなっているんだろうなと。そういう時、誰かが誰かを退治したり、矯正しようとしても、いい方向に向かうことはないと思うんです。でも人間関係をもう一回整え直すことができれば、うまく治る可能性がある。おっかないと思っていた人が実はいい人だったり、頑固だと思っていた人が案外柔らかい人だったりすることもあるわけで。

「アーヤと魔女」を通じて「たまには子供に操られるのもいいんじゃないの?」と大人へメッセージを送っているわけですね。

まとめ

「アーヤと魔女」は子供たちと大人たちへ以下のようなメッセージを投げかけているのかもしれません。

それぞれの世代へのメッセージ

今の子供たちへ「アーヤのようにバイタリティーを持って生きていってほしい」

今の大人たちへ「たまには子供に操られるのもいいのではないか」

こういったメッセージを問いかける作品だと思って見ると、より魅力的で面白く見ることができるかもしれませんね。

→他の「アーヤと魔女」豆知識を知りたい方はこちら

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