ジブリ美術館

「毛虫のボロ」作品紹介!〜CGへの挑戦・作成秘話など〜

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ジブリが好きな人なら一度は行ってみたい場所は「三鷹の森ジブリ美術館」ではないでしょうか。

このジブリ美術館の地下1階にある画像展示室にある「土星座」では期間毎にオリジナル短編アニメーションが上映されます。

上映内容についてはこちら→《オリジナル短編アニメーション》作品一覧

この短編アニメはジブリ美術館に訪れなければ見ることができないので、是非訪れてみてはいかがでしょうか。

そして、今回はこのオリジナル短編アニメーションの中で「毛虫のボロ(けむしのボロ)」を紹介したいと思います!

作品紹介


© 2018 Studio Ghibli

毛虫のボロ

上映時間
約14分
原作・脚本・監督
宮崎 駿

◼︎作品紹介
草むらのなか、夜が明ける前に卵からかえった毛虫のボロ。
初めて見る朝陽はとてもまぶしくて、世界はおいしそうな空気にあふれていました。ボロは、ボロギクの根元に降り立ち、毛虫の先輩や外敵が行き来する世界へと踏み出します。

主人公は、ボロギクの茎で生まれた毛虫の「ボロ」です。ボロが卵の殻を破って卵から孵るところから物語はスタートします。夜が明ける前に初めて見る「世界」は不気味で奇妙な闇の世界でした。

しかし、だんだんと夜が明けてくるにつれて空が明るくなります。

歯の表面にたどり着いたボロの眼に飛び込んできた壮大な世界。圧倒的に広がる空間をカラフルな色した大気の粒のようなものが無数に漂ってくることにボロは気がつくのです。

※この粒のようなものを「空気のゼリー」と宮崎監督が名付けています。
「虫のような小さな目から見ると、酸素や窒素などがこのように見えるのではないか」という着想がすごいです!

ボロに待ち受けている世界は美しく、素晴らしい世界か…それとも?

たった14分の短編アニメですが、ものすごくワクワクしてあっという間に時間が過ぎていくことでしょう!

魅力

宮崎監督は、この小さな小さな毛虫の目線で、自然と世界の美しさと怖さを描いている。

人間が、日々の暮らしの中で見ることができない「ミクロ」の世を色彩豊かに表現しています。

舞台となっているのは、住宅地にある空き地と人間にとってはさほど大きくない空間であっても毛虫のボロにとっては壮大なんですね。

人間が普段意識することがないが、この世界には無数の小さな虫たちがいて、生きるために必死になって世界を渡っていることをこの短編アニメから伝わってきました。

宮崎監督は試写会時にこのようにコメントしています。

生まれたばかりのちっぽけな毛虫に世界はどう見えているのでしょう。
小学生のとき、植物の光合成について教えられて、光合成はどう見えるのかズーッと気になっていました。
毛虫には空気の粒は見えるのかなぁとか、葉っぱをかじった時はゼリーのような味がするのかなぁとか、狩人蜂は今の戦場でとびまわっている無人攻撃機みたいなものかなぁとか……。

 

 

宮崎監督の挑戦!CGへの挑戦!

「風立ちぬ」をもって引退宣言を行った宮崎駿監督(その後、「君たちはどう生きるか」の発表とともに引退は撤回される)が、この撤回までの間に、手がけたのが「毛虫のボロ」でです。

宮崎監督が監督した映画作品としては、「風立ちぬ」以来の新作となった「毛虫のボロ」は、宮崎監督とって、初めての3Dアニメーション作品となる予定でした。

・CGと手書きの良いところを合わせた!

ただし、実際は限定的な使用に留まり、ボロの目から見た「空気のゼリー」などの動く立体物ににCGを使い、多くはジブリ従来通りの手書きが多いのが特徴です。

いかにもCGというような表現を宮崎監督は嫌ったようで、完成品からCG表現で気に入らない箇所を従来の手書きに戻したようですね。

これには恥ずかしいものを作れないという宮崎監督の強い意志があったようですね。

宮崎監督の発言

ラセターがさ、宮崎が(CG)をやってたって言ったら絶対覗きに来るでしょう?

まだこんなレベルかって思うに決まってるじゃない。恥ずかしいものはやりたくないじゃない。

NHKで放送された「終わらない人 宮崎駿」の中で話題にした内容であり、友人でもあるジョン・ラセターに対して恥ずかしくないものを作るというのが、宮崎監督が望んだことのようですね。

「毛虫のボロ」から「もののけ姫』へ変更?

「毛虫のボロ」に関して宮崎監督は、「もののけ姫(1997年)」の上映より早くから構想を練っており、いずれ制作したい作品として折に触れ語っていました。

1997年に放送された「トップランナー」では制作したい作品として「東京汚穢合戦」と合わせて「毛虫のボロ」についても語っていました。

映画化する企画もあったようですが結局断念して、代わりに採用された企画が「もののけ姫」だったんです。

・これには鈴木敏夫さんの説得が?

「毛虫のボロ」ではなく、「もののけ姫」に変更されたことには鈴木敏夫プロデューサーによる説得が大きく関係しています。

・ジブリ作品の流れを変えたかった!
「魔女の宅急便」「おもひでぽろぽろ」「平成狸合戦ぽんぽこ」「耳をすませば」と動きがある映画というよりも穏やかで癒し系な作品が続いていて、この流れで、毛虫から見た世界に焦点をあてた作品は、あまりに地味であることから、乗り気になれなかったそうです。

その当時、「もののけ姫」はテレビスペシャル用の企画として、宮崎駿監督が描いたものの実現しなかったイメージボードがあり、それを映画化することを鈴木さんは提案します。

しかし、宮崎監督は「毛虫のボロ」を捨てきれず迷っていたようです。

そこで、鈴木さんは以下の3つの点から説得を試みます。

鈴木さんの説得

1.宮崎駿監督の年齢
50代後半に差しかかろうとしている宮崎監督にとって、冒険活劇を作れるのは最後かもしれない点

2.ジブリで働くスタッフのため
研修制度により着実に成長していた若手スタッフが力みなぎっているこのタイミングで、思う存分発揮できる企画にするべきである点

3.予算
当時、爆発的ヒット作は生んでいないものの、アニメーションスタジオとしてはヒットメーカーとして見られていましたため、10億円であった予算を倍20億円かけることができ、製作期間も倍の2年かけることができる点

こういった説得により「もののけ姫」の企画が動き出すことになるのですが、「毛虫のボロ」の企画を捨てきれなかった宮崎監督が「風立ちぬ」をもって引退宣言を行った後に取り組んだのですね。

物語着想のきっかけは?

引用:HUFFPOST

ここまで、「毛虫のボロ」を捨てきれず作成したいと思ったきっかけは宮崎監督が少年時代に読んだ「空飛ぶあくま」という漫画にあります。

「空飛ぶあくま」は1948年(昭和23)年の単行本『コグモの冒険』に収録された作品です。

朗らかなタッチからは想像できない、虫たちのリアルが描かれており、そういった、自然の恐ろしさを象徴するような物語が宮崎監督の記憶の片隅にずっと残っていたようですね。

声優は「タモリ」さん!

劇中の音声は、ラストに流れる久石譲のピアノ曲以外、ボロの声や効果音など前編全てをタモリさんが担当しています。

タモリさんは以前にもジブリ美術館限定の短編アニメやどさがし」でも声と音を担当しました。

前編全て「タモリ」さんというのもすごいですが宮崎監督が何度もラブコールをおくって実現したというのもすごいですね。

養老孟司さんとの対談の中で、宮崎監督はタモリさんについて以下のように語っています。

宮崎:音に関してはどうしてもタモリさんにやって頂きたくて、何度もラブコールを送って(笑)、ようやくやっていただけたんです。
養老:あの人はまさに天才だなと思います。
(中略)
宮崎:タモリさんは天才ですから、類似品はない。こう来るかなと思ったら、全く違うアプローチをしてきたり、全部予習して来て下さって、一発でやってくれました。だからこっちも余計なことを言わない。彼の才能に全部任せました。
出典:『毛虫のボロ』パンフレット

セリフやBGMがほとんどなく、聞こえてくるのはボロの仕草や様子を表現する効果音や虫たちの羽の音、そして自転車の音など…

お二人ともに口を揃えて「天才」と呼ぶように、これら全てをタモリさんがしていると思うとすごいの一言ですね!

試写会にて宮崎監督は「タモリさんなくては、この映画は完成しませんでした」とタモリへの感謝を述べていますが、たしかにその通りだと思う作品です。

グッズがある!

ジブリ美術館には「毛虫のボロ」のグッズが多数販売されており、クリアファイル、バッジ、シール、ポストカード、ぬいぐるみ、マスキングテープなどがあります。

・キーホルダー

・ピンバッジ

・クリアファイル

上にあげたのはほんの一例です。

また、先ほど紹介した宮崎駿監督と養老孟司さんの対談や、スタッフのインタビューも掲載されているパンフレットも購入できます。

可愛らしい「毛虫のボロ」を「土星座」で見た後にグッズを購入できるので、是非一度ジブリ美術館に足を運んでみてはいかがでしょうか。

その他の上映内容についてはこちら→《オリジナル短編アニメーション》作品一覧

関連ページ→《三鷹の森ジブリ美術館》の魅力!チケット購入方法・購入できなかった場合は?

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